Lidl-Trekが実践する、高地トレーニング効果を暑熱で延長する方法
ツール・ド・フランスのパフォーマンスにおいて、高地トレーニングは長らくワールドツアー選手の準備の定番でした。2025年、パフォーマンスディレクターたちは、もはや暑熱適応を別個のツールとは見なしていません。高地の上に重ねているのです。暑いステージへの備えとしてだけでなく、すでに高地で蓄えたパフォーマンス上の恩恵を延長する重要な手段として。Lidl-Trekのコーチ、マティアス・レックが、チームがツール・ド・フランスで最大限のパフォーマンスを発揮するために、高地と暑熱をどう組み合わせているかを内部の視点で語ってくれました。
「暑熱トレーニングは暑いステージのためだけのものではない。高地で得た効果を維持し、疲労耐性を高め、レース当日の準備を仕上げる方法だ。それも、2回目の高地合宿を必要とせずに」
— マティアス・レック(Lidl-Trekコーチ)
暑熱適応
暑熱トレーニングと暑熱適応の基本に立ち返りましょう。コーチは通常、短期と長期の暑熱適応を区別します。

Lidl-Trekのハイブリッド・アプローチ
Lidl-Trekは、2つの環境の相乗効果を活かすハイブリッドな暑熱+高地戦略を実施しています。
「高地合宿に入る前に、特定の暑熱トレーニングのブロックを行った。暑さと高地に同時にさらされることが体にとって全くのショックにならないようにするためだ」とマティアス・レックコーチは説明します。
5月のシエラネバダでの合宿は、時期柄、自然な暑熱暴露をもたらしました。COREセンサーによって、コーチは通常のトレーニングセッション中に選手が十分な熱ストレスを蓄積しているかをモニタリングでき、合宿中に追加の構造化された暑熱プロトコルを行う必要を最小限にできました。しかし、ツール・ド・フランスはその高地ブロックの数週間後に始まるため、その適応を維持することが重要になりました。
「高地合宿がツールからかなり離れていたので、ドフィネとツールの間に暑熱トレーニングを使って高地の効果を保った」とレックコーチは言います。
この判断は、高速の努力に向けて海抜ゼロ地帯で練習しつつ、高地由来のパフォーマンス向上を維持したスプリンターやサポートライダーにとって、特に有益でした。
「GC(総合成績)狙いの選手のようにもう一度短い高地合宿をするのではなく、暑熱でその恩恵を維持しながら、スプリント性能を微調整した」

研究
研究もこのアプローチを裏づけます。Oberholzerら(2024年)の研究では、サイクリストが3週間の高地合宿の後、3.5週間の海抜ゼロ地帯でのトレーニングを行いました。対照群は、高地で得た+4.1%のヘモグロビン量のうち71%を失いました。対照的に、海抜ゼロ地帯に戻った後に週3回の暑熱トレーニングを行った群は、ヘモグロビン量の増加をすべて維持しました。
それだけではありません。研究は3週間の高地トレーニング後に血漿量が8%減少することも見出しました。これは、高地から戻ってすぐに暑い気候で競技するアスリートは、血漿量が低いために暑熱への適応が不十分であることを示しています。

研究の主任研究者ダニエレ・カルディナーレ(写真)はこう説明します。
「高地合宿の直後に、事前の適切な暑熱順化フェーズなしで暑い気候で競技することは勧めない。暑熱順化は多面的で、血漿量の増加だけにとどまらない。ただし我々の研究では、海抜ゼロ地帯での3.5週間の間、HEAT群は高地後からの血漿量の増加が対照群より数値上大きかった(それぞれ12%対6%)。したがって、HEAT後の3.5週間の維持期における血液量の大きな増加が、フランク・スターリング機構を介して一回拍出量、ひいては最大心拍出量を高め、また長時間運動中のより良い体温調節によって、アスリートに有益となる可能性が推測される」
暑熱は、レース直前に高地サイクルを繰り返すことなく得た効果を保ちたいチームにとって強力なテコであり、戦略的に使えば高地トレーニングの生理的コストを相殺できます。
Lidl-Trekのように暑熱トレーニングする方法
ヘモグロビン量を増やすのに、山での2週間の合宿は必要ありません。正しく行えば、暑熱トレーニングは強力な単独刺激にも、維持刺激にもなります。方法は次の通りです。
ビルドアップ期(2〜3週間で10〜14セッション)
- 目標: COREのヒートゾーン3で40〜50分
- 服装: 重ね着(保温+防水レイヤー)
- ワークアウトは強度を上げて開始——FTPの80/90/100%で5分×3本、深部体温を上げる
- ヒートゾーン3に入ったらパワーを下げる。断熱レイヤーのおかげで深部体温は高いまま保たれる。ヒートストレインインデックス3.0〜6.9を目標に
- 水分補給を保つ: 発汗量を測り、暑熱セッションの前・中・後に飲む
- 頻度: 週3〜6回
これで体は短期的に暑熱順化し、暑い条件でレースする準備が整います。最後の暑熱セッションはレースの3〜5日前に。
維持期(レース当日まで)
- 重ね着で1時間のZ2ライド
- 高強度は不要
- 通常ヒートゾーン3で20〜30分になる
- 頻度: 週3〜4回
ヘモグロビンの増加を得るには、暑熱順化スコアを少なくとも3週間、80%以上に保ちましょう。
ツールのパフォーマンスにとっての意味
ツール前の最後の数週間、スプリンター、ドメスティーク、さらにはGCライダーも、狙いを定めた暑熱ブロックによって、移動・費用・トレーニングの妥協を伴うもう一度の高地ブロックなしに、高地トレーニングの生理的な「尾」を延ばせます。サドルに5時間座った後、暑熱トレーニングをした選手が優位に立つでしょう——山頂フィニッシュでも、混沌としたスプリントでも。
まとめ: 賢く走るために暑く鍛える
暑熱トレーニングはもはや「貧者の高地」ではありません。高地の恩恵を延長し、体温調節を高め、レースの勝敗を分ける疲労下でのパフォーマンスを維持する、最も知られざる戦略です。
マイヨジョーヌを追うにせよ、逃げを追うにせよ、一つ明らかなことがあります。高地はエンジンを作る。暑熱はそれを回し続ける。
この記事は本国CORE(greenteg社)のブログを日本語化したものです。
