Sweatlabs: 温水浴はヘモグロビンとVO2maxを高められるか?
長期的な暑熱トレーニングはヘモグロビン量とVO2maxを高め、涼しい気候でもパフォーマンスを向上させます。この効果に関する初期の実験室研究は、運動を伴う「能動的(アクティブ)暑熱トレーニング」に注目していました。2025年11月の論文「長期の受動的暑熱順化は、持久系ランナーにおいて血液学的・心臓的適応を介して最大酸素摂取量を高める」は、5週間の温水浴(受動的暑熱)でも同じヘモグロビンとVO2maxの向上が得られるかを調べました。
主な知見
- 5週間の温水浴(週5回・1回45分、多くは運動直後に実施)を行った、よく訓練されたランナーは、ヘモグロビン量・総血液量・心臓のポンプ能力の増加が見られた。
- 5週間後、ヘモグロビン量は平均33グラム増加し、VO2maxは2.7 ml/min/kg増加。疲労困憊時のトレッドミル速度は0.8 km/時 向上した。
- ランニングエコノミー、乳酸性閾値(4 mmol/L)でのトレッドミル速度、乳酸性閾値での心拍数には変化がなかった。
- 改善幅は、能動的暑熱トレーニングのみを用いた研究と同程度だった。
- 対照群には上記の改善は見られなかった。
研究の方法
- ランナー10名(男性9名、女性1名)を2グループに分けた。よく訓練されているがエリートではない選手(VO2max 56.5〜72.5 mL/min/kg、週5〜11時間のトレーニング)。
- 一方のグループは5週間の温水浴(週5回×45分、開始水温40°C)を実施。対照群はその時間に何もしなかった。
- 5週間後、両グループはプロトコルを入れ替えた(対照群が温水浴に、温水浴群が対照に)。
- 浸水の大半(75%)は運動直後、すでに深部体温が上昇している状態で行われた。
- 心臓・血液・パフォーマンス指標について、前後で広範なテストを実施。
- トレーニング量・強度に変更はなかった。

COREの見解(Hot Take)
- 本研究は、低地で競技する人にとって暑熱トレーニングが高地トレーニングの優れた代替になることを、さらに裏づける。
- 温水浴セッションの大半(75%)は「運動で増強された」もの——つまり運動直後に行われた。これは2つの理由で重要な点である。
- 適応が温水浴単独から生じたのか、運動由来の高体温が延長されたことで生じたのかは不明である。言い換えれば、深部体温がベースライン(平常時)の状態から浸水を始めても適応が生じたかは分かっていない。
- ベースライン体温から始める45分セッションの総暑熱トレーニング負荷は、運動直後(すでに体温が上昇)に始める場合のおよそ半分である(COREのパッシブ暑熱トレーニング計算ツールに例あり)。
- 総浸水時間は週3時間45分。COREのSweatlabsチームはこうコメントする。「多くのエイジグルーパーは時間に追われ、パフォーマンスは総トレーニング時間に制約される。その週3時間45分をトレーナーやトレッドミルでの能動的暑熱セッションに充てれば、暑熱由来の効果に加えて有酸素・筋トレの効果も得られ、総合的なパフォーマンス向上はより大きくなる可能性が高い」
- 運動後の熱い風呂に入るのは、「土曜の夜のゆったりした入浴」とはまったく別物である。能動的暑熱トレーニングより不快に感じる人も多い。参加者の熱的不快感は平均6(1=快適、10=極めて不快の尺度)で、範囲は4〜8だった。
今後に向けて
本研究は貴重な情報を提供すると同時に、興味深い問いを投げかけます。次の点を明らかにする追試を見てみたいところです。
- 週3〜4時間の受動的暑熱トレーニングの追加は、週3〜4時間の能動的暑熱トレーニングの追加と比べてどうか。
- ヘモグロビンとパフォーマンス向上に必要な、運動増強型の受動的暑熱トレーニングの最小用量はどれくらいか。
- 受動のみの暑熱トレーニング(ベースライン体温から開始)でも、同じヘモグロビン・パフォーマンス向上が得られるか。
- 女性も運動増強型の受動的暑熱トレーニングで同じ効果を得られるか(参加者10名中、女性は1名のみ)。
この記事は本国CORE(greenteg社)のSweatlabsシリーズを日本語化したものです。
