Sweatlabs: プレクーリングは5kmランにどう影響するか?
プレクーリング(運動前の冷却)や競技中の冷却(per-cooling)が、暑熱環境でのスポーツパフォーマンスを高めることは多くの研究で示されてきました。研究「頭部冷却・冷却ベスト・氷摂取のランニングへの比較効果」は、高温多湿の屋外環境で、レクリエーションランナーの5kmタイムトライアルに対する3種類のプレクーリング戦略を比較しました。3手法はいずれも標準的なper-cooling(走行中のクラッシュアイス摂取)を併用し、対照(プレクーリングなし・走行中は温水摂取のみ)と比較されました。
主な知見
- 3つの冷却戦略(頭部冷却・氷摂取・冷却ベスト)のいずれかを受けたアスリートは、対照戦略のランナーに比べて有意なパフォーマンス向上を示した(対照のタイム22〜30分に対し、1.3〜1.8分短縮)。
- 3つのプレクーリング戦略間で、5kmパフォーマンスに差は見られなかった。
- 冷却したランナーのピーク深部体温は、対照群より0.3〜0.5°C低かった。
- 頭部冷却戦略は深部体温の低下が最も小さかったが、5kmパフォーマンスは他の戦略と同等だった。
研究の方法
中程度に鍛えられた(週3回以上の有酸素運動)活動的な若年男性14名が、4週間にわたり各自4回のランニングタイムトライアル(400mトラックで5km)を実施。各ランナーは全戦略と対照をランダムな順序で経験しました。
条件は湿球黒球温度(WBGT)32〜34°C、相対湿度60%。これは気温にしておよそ40°Cに相当し、運動にとって「非常に高い〜極端」なレベルとされます。
各タイムトライアルの前に20分間のプレクーリングを実施。内訳は次のいずれかです。
- ジェル式頭部冷却キャップの着用(0°Cに予冷)
- クラッシュアイスの摂取(体重1kgあたり7.5g)
- 体幹に氷冷却ベストを着用
対照群のランナーは日陰で20分間座り、体重1kgあたり7.5gまでの温水摂取が許可されました。
タイムトライアル中、3つのプレクーリング群のランナーは5分ごとに100mLのクラッシュアイスを摂取。対照群は同じ量・頻度で温水を飲めました。タイムトライアル中、ランナーは自己ペースで走り、ペースやタイムの外部表示はありませんでした。各ランナーの深部体温は、チェストストラップに装着したCOREセンサーで計測しました。

COREの見解(Hot Take)
- 本試験は、高温多湿下での持久系運動の前・最中の冷却戦略にパフォーマンス上の利点があるとした先行研究を支持する。
- 3つのプレクーリング戦略間で差が見られなかったことは、「冷却は非常に個別性の高い取り組みである」という我々の考えを裏づける。最適な冷却戦略は、種目の時間と強度、空気の相対湿度、アスリートの体力・暑熱順化レベル、各戦略への個人差によって変わり得る。
- 本研究では、常時のper-cooling戦略(走行中の氷摂取)が、プレクーリング戦略間の差の一部を打ち消した可能性がある。パフォーマンス向上のどれだけがプレクーリングによるもので、どれだけがper-coolingによるものかは不明である。
- 頭部冷却キャップを着けたランナーは深部体温が高かったが、他の戦略と同等のパフォーマンス上の利点を得た。オーバーヒートの意欲低下効果(熱くなった脳は体を減速させようとする)を考えれば、これは驚くことではない。SweatLabsチームは、ダニエラ・リフとの会話を思い出す。彼女は5度のアイアンマン世界選手権優勝の際、こめかみを冷やし続けることの重要性を語っていた。その冷却が脳を明晰に保ち、良い判断を可能にしたという。
今後に向けて
プレクーリングとper-coolingの有効性は多くの変数に左右されます。さまざまな状況での異なるプロトコルの効果を見てみたいところです。COREセンサーの利便性・低コスト・再現性(テスト/再テストの信頼性)は、この種の研究に理想的なツールです。
アスリートやコーチから寄せられた、特に関心の高い問いは次の通りです。
- per-coolingがほとんど使えない場合、プレクーリング戦略間に差はあるか。
- より長い種目では、プレクーリングはヒートシンクのように働き、深部体温上昇の開始を遅らせるのか。
- 非常に高強度の種目では、冷却ベストが肋間筋を締めつけ(胸郭の十分な拡張を妨げて)呼吸を妨げないか。
- 高温乾燥の気候条件では、特定のプレクーリング戦略が他より有効か。
- プレクーリングがパフォーマンス上の利点を与える、最短の種目時間はどれくらいか。
- プレクーリングがパフォーマンス上の利点を与える、最低の気温・湿度はどれくらいか。
この記事は本国CORE(greenteg社)のSweatlabsシリーズを日本語化したものです。
