同じ強度、まったく異なる熱プロファイル——ツール・ド・フランス・ファムの教訓

持久系スポーツで最もよくある思い込みのひとつが、「同じ条件で戦う選手は同じくらいの熱ストレスを受けているはずだ」というものです。ツール・ド・フランス・ファムのデータは、そうではないことを示しています。

2026年ツール・ド・フランス・ファム第3ステージ(ジュネーブ〜ポリニー、156.5km、獲得標高2,000m超、平均気温約32°C)で、3名の選手のCOREデータを分析しました。選手1と選手3は同じ集団でフィニッシュ、選手2は約10分遅れ。心拍プロファイルは概ね似ており、心血管系の負荷はステージの大半で同程度でした。それにもかかわらず、熱に対する反応は驚くほど異なっていたのです。

コースが「パターン」を、体質が「大きさ」を決める

標高プロファイルは、生理的負荷の変動の多くを説明します。3名とも、主要な登りで深部体温が上昇し、下りで安定または低下しました。登坂強度の変化と、走行風による冷却の機会が、熱ストレインの主要なドライバーだったことがうかがえます。

最初の大きな深部体温上昇はコル・ド・ラ・フォシーユ(11.6km・平均6.3%)で発生。選手1と選手3が約39.5°Cに達したのに対し、選手2は38.9°C。皮膚温はさらに差が大きく、選手2の32°Cに対し選手1は35°C。この結果、心拍反応が似ているにもかかわらず、HSI(ヒートストレインインデックス)のピークは選手1が5.3、選手2はわずか2.3となりました。

下りでは3名とも皮膚温が急低下しましたが、深部体温の反応は分かれました。選手1は約0.6°C低下した一方、選手3はほとんど下がらず、同じ冷却刺激でも生理的反応がまったく異なることを示しています。

最後の60kmでは、選手1と選手3が熱ストレインを蓄積し続けたのに対し、選手2は相対的に涼しいままでした。パターンは共通——登りで熱ストレインが増え、下りで冷却の機会がある。異なっていたのはその「大きさ」です。つまり、地形が「いつ」熱ストレインが発生するかを決め、個人の生理が「どれだけ」蓄積するかを左右したと考えられます。

同じレース、異なる熱負荷

ヒートゾーンのデータはこの個人差をさらに際立たせます。最も印象的なのは選手1と選手3の比較です。同じ集団でフィニッシュしたにもかかわらず、選手3はゾーン3に118分滞在したのに対し、選手1は72分。一方の選手2は、全ステージを通じてゾーン1と2にとどまり、ゾーン3の時間はゼロでした。

熱ストレインは「個人のもの」

ここでの要点は「一部の選手がより頑張った」ということではありません。同じコース、同じ天候、同じレース展開にさらされた選手たちが、まったく異なる熱負荷を経験しうるということです。

代謝による熱産生、発汗率、皮膚血流、体格、冷却効率、レースでのポジション取り、ペース配分——こうした要因すべてが差に寄与している可能性があります。さらに女性の場合、月経周期を通じて生理的な変動が大きく、個人差はいっそう強調されます。

重要な示唆は、熱ストレインは何よりもまず「その選手個人の文脈」で解釈すべきだということ。ある選手にとっては十分に許容できる熱条件が、別の選手にはかなり大きな負荷になりえます。だからこそ暑熱モニタリングは、選手同士を直接比較するより、同じ選手の変化を時系列で追うときに最も価値を発揮します。

まとめ

ツール・ド・フランス・ファム第3ステージは、熱ストレインを「環境条件」ではなく「個人の反応」として捉えるべき理由を鮮やかに示しました。3名が平均32°Cの同じ156.5kmを走り、うち2名は同じ集団でフィニッシュ。それでも、ある選手はヒートゾーン3にほぼ2時間滞在し、別の選手は一度も入りませんでした。

天候と地形は熱ストレインに影響しますが、それを決定づけはしません。同じレースが、選手ごとにまったく異なる生理的課題を生み出すのです。

CORE 2 を見る

Train Hot, Race Cool

CORE 2 を購入