HSIに影響する要因

深部体温と皮膚温は何で変わるのか。熱ストレインを意図的に上げる・下げるための実践的な方法。

CORE 2 サーマルセンサー

HSIは、身体が自分を冷やすためにどれだけ働いているかを示す指標で、深部体温と皮膚温の両方から決まります。同じHSIの値でも、深部体温と皮膚温の組み合わせは何通りもありえます。

熱はどこから生まれるか

人体は糖質と体脂肪を、筋肉のエネルギーと、脳・肝臓などの臓器を働かせるエネルギーに変換します。しかしこの変換は非常に非効率で、燃料の70〜95%は熱として発生します。安静時でも深部体温を37°C前後の狭い範囲に保てるのはこのためです。

運動時には骨格筋を動かすため大量の燃料が必要になり、体内で膨大な熱が生まれます。血液循環がこの熱を筋肉から全身に運び、深部体温が上昇します。

身体の反応

深部体温が上がると、身体は主に発汗皮膚血管の拡張によって熱を逃がそうとします。汗の蒸発は皮膚から大量の熱エネルギーを奪い、皮膚とその下を流れる血液の両方を冷やします。同時に皮膚の血管が広がり(血管拡張)、より多くの血液が皮膚に達して放熱します。

暑熱トレーニングは発汗率を高め、血管拡張を改善するため、より速く効率的な冷却が可能になります。

皮膚温は深部体温の調節において決定的に重要です。深部体温と皮膚温の差が大きいほど、身体から環境への熱移動は速くなります。つまり皮膚温が低いほど、深部体温も低く保てるということです。

服装と環境条件

基本的に身体は内側から発熱し、環境条件がその熱を「閉じ込めるか、逃がすか」を決めます。環境は毛布のようなもの——薄い1枚でほとんど熱を閉じ込めないこともあれば、分厚い毛布を何枚も重ねたように大量の熱を閉じ込めることもあります。

乾いた空気は、気温にほぼ関係なく皮膚からの汗の蒸発を大きく促します。これにより皮膚温とHSIが大幅に下がります。一方湿った空気では汗が蒸発しにくく、皮膚温もあまり下がりません。極端に湿度の高い条件では、身体は主に皮膚の血管拡張に頼って放熱しますが、これは汗の蒸発よりはるかに効果が低いため、皮膚温とHSIは高くなりがちです。

服装も熱の放散を妨げます。汗の蒸発を許す生地は冷却に寄与し、汗を閉じ込める生地(レインジャケットなど)は蒸発を妨げて熱ストレインを高めます。同様に厚手のサーマルレイヤーは対流による放熱を防ぎ、皮膚を温めて血管拡張による放熱も効きにくくします。

極端な状況では、身体は環境から熱を受け取ることもあります(非常に高温の空気、強い日射、サウナ、ホットタブなど)。日陰に入る、肌を覆って日射を遮るといった対策でHSIの上昇を防げます。

熱ストレインを下げる/上げる方法

熱ストレインを下げる熱ストレインを上げる(暑熱トレーニング用)
産熱運動強度を下げる/休憩を入れる運動強度を上げる
身体の反応十分な水分補給で発汗率を確保する/暑熱トレーニングで発汗率と血管拡張を改善する体重を支える種目で運動する(バイクよりラン)
※脱水は熱ストレインを高めますが、安全上のリスクがあり推奨されません
服装着るものを減らす/汗が蒸発する生地を選ぶ/強い日射を遮る生地を着る汗の蒸発を防ぐ防水レイヤー(レインコート等)を着る/対流による放熱を防ぐレイヤーを重ねる
環境条件空気の流れを作って汗の蒸発を促す(屋内では扇風機)/肌に水をかける・ミストする/氷や冷水で皮膚を直接冷やす/日陰に入る強い空気の流れを避ける(扇風機を使わない)/汗が蒸発しにくい湿った環境をつくる/高い気温にさらされる/強い日射にさらされる

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